「良い税理士を紹介します」などの広告をネットで見かけますが、そもそも、税理士とはどういう職業なのでしょうか?
税理士に依頼する業務って何を思い浮かべるでしょう。帳簿の作成、給与計算、各種申告業務などなど、が一般的ですね。
しかし、本当に経営者が税理士に求めている事なのでしょうか?
税理士法第一条にこの様に記載があります。
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」
つまり、税務署の言い成りでも、納税者の言い成りでもいけません。その上で、法令の範囲内で納税者の信頼に応えなければなりません。そこで大切な3点は1、助言 2、指導3、代弁となります。「納税者の信頼に応える」為には、日々の研究を怠ることは出来ません。
申告業務や税務調査などは、それらの結論を集約しているだけですね。
では、何故、帳簿や申告書類の作成が、税理士への依頼業務となってしまったのでしょうか?
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「税務調査が来る」と聞くと、特に指摘される事もないのに、大体の人が身構えてしまいますね。顧問税理士が適切に「代弁」をするかどうかも気になる所です。
孫子曰く「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とありますから、まず、相手を良く知る必要が有りますね。
国税庁の税務調査に関する運営事務指針には、この様に記載が有ります。まずは「指針」基本的な考え方からです。
>>https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/120912/index.htm
ここで押さえておきたいのが「社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることを十分認識した上で、法令に定められた調査手続を遵守」とある点です。口語にすると
1、 常識の範囲内で 2、納税者の理解と協力 3、調査手続を守れ
となります。結構民主的なのですね。
では、次に3、の調査手続をディスクローズされている範囲内でご紹介します。これは、「通達」といいます。国家公務員及び地方公務員においては「法令」と「命令」は絶対に守らなければならいない両輪の様なものです。「通達」とは、行政における「法令の解釈」であり、上級公務員からの「命令」でも有ります。税務署等は絶対守らなければなりませんね。
注意点ですが、違法調査の場合は、行政処分(更正や決定など)は無効となりますので、安易に「修正申告」に署名押印してはなりませんね。大切な話ですが「違法調査であっても修正申告の内容には影響を与えない」のです。つまり、違法であっても課税は変わらないことです。
>>https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/index.htm
ちょっと行政文書なので読みづらいと思いますが、ざっくり纏めると「税務調査にも正しい手順があって、なんでも好き勝手には出来ない」です。公務員ですからね。
他にも、「職員用FAQ」がありますが、非公開なので割愛します。
次は「己」つまり、代弁をする税理士と納税者の問題です。
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一番不味いのが、所謂「丸投げ」です。優秀な税理士であっても、所詮、外部の人間です。自己の事業内容に一番詳しいのは、その事業を営む代表者である訳です。
税務調査終了時に行政指導または行政処分があったとしても、「どの様な理由で、何が不味く、今後どの様にしていけば良いか」は全く曖昧な捉え方しか出来ず、今後の税務調査でも、同様な内容で、課税されているケースが多く見受けられます。
国税には「KSK」とのデータベースがあり、その業種においてエラー値(同業他社とかけ離れた数字)でると、概ね調査に来ます。飲食店業を例にしますと、民間でも一般的には、売上に対して、原価は30%以内、人件費は30%以内、家賃やその他の諸経費が20%以内、そして10%程度が残れば上出来とされています。これらの数字と自社の数字が異なれば、異なるだけの理由があるはずです。その異なる理由を税理士に伝え、適切に申告書に表現しなければなりません。一番の上策が税務調査に入られない事です。
次に、税理士についてです。
この業界は面白く、文章でやり取りをする弁護士等とは全く異なり、まずは税務署等と「口頭」での法解釈等のやり取りが基本です。税務署等は通達に拘束されているのは前述の通りですが、原則、彼らは法人税担当なら、法人の調査部門に長らくいます。非効率ですからね。従って、通達程度なら良く知っています。
対して、税理士ですが、(勉強家の方は割愛します)実際は口頭で税務署等に敵わない方が大半です。何故なら「言質を取られる」のを恐れているからです。または、不勉強をクライアントの前で恥を掻きたくないのも本音でしょう。しかし、口頭で敵わないのであれば、その調査は「負け筋」です。黙って代弁をしないのであれば、その調査は税務署等のペースで進められているのであり、また何時、主張をするのでしょうか?よく「負けるが勝ち」という方が多い様に感じますが、負けは負けです。法令の範囲内で納得いくまで意見を交わすことが、最も抑止効果が高いと考えます。
手間は多少かかりますが、論点(争点)となる取引らについて、行政の解釈はもとより、裁判例や学者の書籍等を参考に、事前に「勝ち筋」を文章に起こし、ある程度暗記しておけば良いのです。これで、税務署等とのディベートの準備が整いました。あとは納税者に調査対象書類等を事前にチェックし、不足があれば再発行等してもらえれば準備万端です。
最後に、近年の調査においては、調査官の服務評価(人事評価)では、調査件数も多く加味されています。主張すべき点は納得いくまで主張し、対して、調査官には効率的に調査を終わらせる手伝いもするバランス感覚は、近年の税務調査では必要不可欠で、スマートな調査対策技術と言えます。
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